第二次世界大戦前夜の労働運動(2)

 日中戦争に突入すると、戦争協力のために労働者を大量に動員しなければならない。しかし国家総動員体制を実現するには、ますます増えるストライキや争議を押さえこまなければならない。それには争議を起こす労働組合を消滅させるのが一番である。愛知県警察部が考えついたと言われるが、労働争議の防止策として、経営者と労働者の代表が工場懇談会を設けるように提唱したのだ。お国のためにつくすので、それを「産業報国会」と称し、労働組合にとって代る組織を生み出した。しかもそこに、労働者の差別待遇をなくす左翼思想を盛りこんだ。みな職員だというのだから、これは大変にすぐれた社会システムのごとく、輝いて見えた。もしこれが、戦争のためでなければ。
 職工にも、安定したなりわいが保証されるのだから大半の労働者は歓迎し、経営者としても、景気さえよければ順調に工場が操業できる。こうして一九三八年には内務省の指導のもとに、たちまち全国の事業所一万ケ所に産業報国会がどっと誕生し、一九四〇年には一〇万事業所を超え参加者が四八〇万人に達した。それに対して一九三六年に九七三あった労働組合のうち、残ったのは五%の四九組合だけで、組合員が一万人を切ったのである。

うげげ。これは大変。なんだか今の動きも…
支配者側の甘言には注意しましょう。

現代の銀行業は詐欺